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リーケージトランスjの構造 | リーケージトランスの仕様表示 | ||
リーケージトランスの磁束 | Q&A(整備中) |
概要
リーケージトランス(磁気漏れ変圧器)は2次側に電流が流れると、2次電圧が著しく大きく低下して、大きな2次電流が流れないようにしたもの。
普通のトランスは2次電流が流れても2次電圧はあまり低下しないし、低下しないことが一般に望ましい。リーケージトランスは普通のトランスとしては、好ましくない特性(負荷時の電圧低下)をもつが、負荷によっては、この特性が必要となる。
交流アーク溶接機内臓トランスや、放電管点灯用のトランス(ネオントランス等)は、起動時はある程度の電圧~高電圧を要し、起動後は起動時電圧よりもはるかに
低い電圧に降下させる
必要がある。
リーケージトランスはこれらの電源用いられる。
リーケージトランスは単相、複巻である。
三相器は製作は可能であるが、単巻では製作できない。
リーケージトランスの構造
リーケージトランスは通常、リーケージパス(パスと略称)を持っている。
パスは、漏れ磁束の通路でギャップ付の鉄心であって、1次コイルと2次コイルの
間に入れる。
図1はリーケージトランスの構造例で、
単相外鉄型コイルの1次、2次を軸方向に
ずらして切り離し、 1次、2次コイル間に
パス(磁気回路のバイパス)を設けた形態
になっている。
パスは1次、2次コイル間に鉄心中芯、
外芯間をブリッジするように置かれ、中芯・
ギャップ・ パス・ギャップ・外芯の経路と
なっている。
ギャップの寸法により漏れ磁束の生じやすさが決まり、ギャップが小さいほど、漏れ
磁束が生じやすい。
パスの構造、パスのギャップはリーケージトランス製作の重要なポイントで経験、実績の蓄積を要する。
リーケージトランスの磁束
1次2次コイル両方に鎖交(注)する磁束を主磁束(Main flux)と呼ぶのに対し、
上記どちらか一方のみ鎖交する磁束を漏れ磁束(leakage flux)という。
(注)2つの鎖のリングのように一方が切れない限り結合が外れない交わり方。磁束は目に見えないが、 始点・終点はなく、ループ状に閉じている。コイルの電流が作る磁束とコイル(電流)は2つの鎖のリングのように交わっている。
リーケージトランスでは、漏れ磁束はパスを通る磁束と理解してもよい。
普通のトランスでは、リーケージトランスのようなパスはないが、1次2次コイル間のギャップがパスのような作用をし、いくらかの漏れ磁束はが発生する。
図1構造のリーケージトランスにおいて、図2は2次無負荷時の磁束の図3は負荷時の磁束を示す。
図2、図3において磁束を破線で示し、、は電流の方向を示す。
無負荷時には1次コイルが発生した磁束はほぼすべて2次コイルに鎖交する。
この時、2次コイルにはほぼ巻数比通りの電圧が発生する。
例えば、1次コイル50ターン、2次コイル200ターン、(巻数比200/50=4)で、
1次コイルに150V印加の時は、2次コイルには600Vが発生する。
150v×4=600v
負荷時には2次コイルの電流により、主磁束の流れに抵抗を受ける。
この時、2次コイルを通らないでバイパスできるような磁気回路(パス)があると
主磁束の大部分、または一部はパスを通るようになる。
普通のトランスにとって漏れ磁束が多いことは好ましくないが、リーケージトランスは漏れ磁束を意図的に利用したものである。
リーケージトランスのリーケージは磁束が漏れることに関するleakage flux、leakage passに由来する。
リーケージトランスでは無負荷時は、ほぼ巻数比通りの2次電圧が発生するが、2次電流が流れると急激に2次電圧が低下するのは、漏れ磁束の発生量が多いことによる。
コイルに電圧(V)がかかった時、そのコイルが発生する磁束φは、Vに比例する。
また、コイルに磁束φが鎖交するとき、そのコイルに発生する電圧vは、φに比例する。
負荷2次電圧の例
前に計算したように図2において、2次コイルに600vの電圧が発生しているとする。
図2、図3において、磁束を示す破線1本の磁束量を仮にφとする。
図2では6φの磁束に対し、600vの2次電圧が発生していることになる。
図3では、2次コイルには4φ主磁束が通り、2φの2次漏れ磁束が逆方向に鎖交するので、全体として2次コイルに鎖交する磁束は4φ-2φ=2φとなる。
したがって、この時の2次電圧も600×2/6=200vとなる。
リーケージトランスの仕様表示
リーケージトランスでは、項目により普通のトランスとは異なる定義による表示がされる。
【2次電圧・2次電流】
2次電圧は無負荷時の電圧で(2次開放電圧)
2次電流は2次短絡時の電流(2次短絡電流)
【 定格容量】:2次開放電圧×2次短絡電流
放電管用トランスの特性例(注)
図4に2次15kv/30mAのリーケージトランスの特性例を示す。
Aは無誘導負荷時、Bは放電管負荷時の
特性曲線である。
Pは放電管の電圧・電流特性(表示せず)と曲線Bとの交点。
P点でこのトランスは安定運転される。
またCは普通の定電圧変圧器の負荷特性を示す。
注)電気学会大学講座 変圧器
(発行 電気学会)より一部省略して引用
Q&A
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